「スマイル5」リリース記念
SPECIAL INTERVIEW
──じゃあここからは、それぞれの曲について掘り下げていきましょう。まずはリード曲、「アドベンチャー」について。この曲は、だいちゃんっぽくて、すごく好きです。
だいすけ ありがとうございます。僕ら大人だけでなく子どもたちにも向けたメッセージを、ものがたりみたいに歌いたいなって思って作った曲です。
──うん、ノラ犬がしゃべるところとか、僕の好きな「虹」とかと似た雰囲気。
健太 そうかもね。この曲は僕らみんな気に入っているけど、とくにあいちゃんのイチ推しだったよね。
あい はい。「今日の日が暮れる ボクに くれる くれる すべて」ってところの歌詞がホントに好きで。こういう瞬間ってあるなあって、すごく共感しました。「そのときはわからなくても、いつか後になって気づく日が来るから、大事にしまっておこう」っていうメッセージ。
だいすけ 「くれる」って言葉が、日が「暮れる」のと“Give”の「くれる」のと同じだなって気づいて、そうか日暮れは僕にいろんなものをくれるんだなっていうところから発想しました。実は、日が暮れるっていうのは、大事な人が死んでしまうことの暗喩でもあって、太陽は毎日沈んでいって、そのときのための練習をさせてくれる、そういう意味もあるんです。
──なるほど。死の恐怖の克服って、だいちゃんがつねに歌い続けるテーマの1つですよね。
まなん すごく勇気をくれる歌詞なので、ライブでも一緒にうたってほしいです。
だいすけ イメージは、「となりのトトロ」の「さんぽ」っていう曲。森の中とか、ひとりじゃ怖いときでも、誰かと手をつないでうたいながら歩けば怖くない。これって最強なんだよね。ライブでみんなで一緒にうたえば、怖いことや悲しいことも、乗り越えて一歩踏み出せると思うんです。
──サビの「うたいながら生きる」って、そういうことなんですね。
だいすけ 子どもが幼稚園や学校で一緒にうたうのって、思い出をとじ込めることだと思うんです。一緒にうたった仲間とか、そのときの出来事とかを心に刻む。うたいながら生きるって、そういうことでもある。
──楽曲的には、どんな工夫をしたんですか?
健太 この曲の歌詞のよさをそのまま生かせるように、ただただ素直にシンプルにアレンジました。でもただの元気な曲にならないように、夕暮れのノスタルジックな雰囲気を生かすために鍵盤ハーモニカを入れたんです。
だいすけ 鍵盤ハーモニカって、曲のジャンルを問わず、雰囲気をやわらかくするすてきな響きのある楽器だよね。
まなん 鍵盤ハーモニカは私が弾いているから、出だしはベースが入っていないんです。でも、エレキギターとドラムだけで始まるのが、旗を掲げて冒険に出かける雰囲気が出ていてすごく気に入っているんです。
あい アドベンチャー感!
──みんなでユニゾン(ハーモニーでなく同じ旋律を奏でること)でコーラスしているのも、「一緒にうたっている」感じが出ていてすごくいい。
まなん いままでニコルズは、あんまりユニゾンしなかったから、ちょっと新鮮でした。一緒にうたってほしいけど、意外にキーが高いから男性は大変かも。
だいすけ レコーディングで「忘れないように」の「ように~」のところで健ちゃんの声がどんどん枯れていくの(笑)
まなん 健ちゃんは必死だったみたいだけど、大爆笑だったよね(笑)
──2曲目、「GO OUT」は、以前GO OUTのキャンプフェスのテーマソングに作った曲ですよね。レコーディングし直したんですね。
だいすけ もともとニッチというか、GO OUTのキャンプフェスに来ている人に向けてうたっているぶん、狭い範囲の人に向けて書いた曲だったんですが、GO OUTのステージで演奏していくなかで育っていって、曲自身がもっと広いところに行きたがっている感じがしたんです。
──だからアルバムに入れて、広く発信することにしたというわけだ。
健太 ターゲットが狭いとは言うけど、実はこの曲ってすごくエバーグリーンな曲。「空はひとつ 見上げてつながる」とかって、ニコルズの普遍的なメッセージなんだよね。だから、アルバムに入れてほかの曲と並べても全然遜色ないし、もっともっといろんな人に届けたいって思った。
だいすけ「忘れない」とか「消えない思い出」っていうのは、最近よく取り上げるテーマでもあるんです。楽しいイベントで、楽しい瞬間を大事にするっていうのは、それに合致してもいる。
──ライブで育ったっていうのは?
だいすけ GO OUTのキャンプフェスの空気感や、フィールドにいる人、ライブを聴いてくれている人のイメージが具体的になったということが大きいです。一度音源にしたものを、ライブで何度もやったフィードバックを受けて手直しできたというのもある(笑)
まなん GO OUTのファンって、すごく楽しむのが上手で、ニコルズが初めての人たちでも、この曲にどんどん乗ってきてくれるんです。そういう人たちが目に浮かぶから、みんなが楽しめるためには「もっとこうしたらいいんじゃない?」っていうのがスムーズにできた。
健太 サウンド面では、楽器のボリュームのバランスを変えて、バンジョーがより目立つようにしました。これもGO OUTの雰囲気を受けてのことかな。
まなん コーラスも強くしたよね。
だいすけ 後半の、バンドが止まるところなんかは、ライブでのコール&レスポンスを意識したよね。
──絶対盛り上がると思う!
あい この曲は、私が初めてニコルズで人前で演奏した曲なんです。だからすごく思い入れがあるんです。
だいすけ あのときはまだ正式メンバーじゃなかったから、「友達のあいちゃんです」って紹介したっけ(笑)